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フィレンツェ国立考古学博物館のオベリスク

所在地:  フィレンツェ、国立考古学博物館
北緯
43°46′35.8″(43.776616) 東経11°15′41.3″(11.261475)
創建王:  恐らく紀元2世紀のローマ人による模作
高さ:  1.73メートル
石材:  黒色花崗岩

場所について:
 フィレンツェ国立考古学博物館は1870年にヴィットリオ・エマヌエーレ2世によって創設されたものです。いくつかのフィレンツェの博物館に収蔵されていたエトルリアやエジプトのコレクションがここに集められ、さらにその後も収蔵品の拡充が行われています。
 エジプト関係の収蔵品は、博物館の創設時の頃からあったメディチ家のコレクションのほかに、トスカーナ大公のレオポルド2世が、ヒエログリフの解読者として知られるフランスのシャンポリオンとイタリアのイッポリート・ロッセリーニによるエジプトの考古学調査団に出資したことから、大量の出土品が加わっています。イタリアではトリノのエジプト博物館が世界有数の規模を誇る博物館として知られていますが、イタリアではこれに次ぐ規模となっています。
 また、エトルリア関連の展示品はイタリア随一の水準を誇り、エトルリア美術の代表的な作品として知られるアレッツォのキメラが目を引きます。この他に、ミネルヴァ像や多数のエトルリアの壷の名品が展示されています。展示品の水準が非常に高いのでじっくりと時間をかけて見る価値があります。
 水準の高い博物館なのですが、フィレンツェでは「ビーナスの誕生」で有名なウフィチ美術館がメインの観光コースとなっていることから、ウフィチ美術館は事前にチケットを購入しておかなければならないほど混雑していますが、国立考古学博物館を訪れる観光客はほとんど居ないようです。平日は非常にすいていますので、丹念に展示品を見ることができます。

アレッツォのキメラ アレッツォのキメラ

行き方:
 国立考古学博物館はフィレンツェの中央駅(Firenze Santa Maria Novella)駅から真東の方向に1kmほど行った所にあります。十分に徒歩圏内なのですが、まっすぐに向かう道は無いので、途中の道筋はやや分かりにくいかもしれません。
 バスは6系統がFirenze S.M.N.駅前から出ており、Muzeo Archeologico(考古学博物館)という博物館の目の前にある停留所に着きます。バスの券売機は駅前に設置されていますので、バスを利用するのが得策かもしれません。


フィレンツェ国立考古学博物館の建物フィレンツェ国立考古学博物館の建物

オベリスクについて:
 このオベリスクはローマ帝国時代の2世紀にイタリアで作られたものと考えられています。ヒエログリフに似た模様が彫られています。面によって碑文の内容が異なっていますし、びっしりと記号が彫られているので、単なる模様とも思えず、作られたときには意味をなす文章として彫られたものかもしれないと筆者は考えています。しかし、解読されているとは思えず、碑文について書かれた文献は見当たりませんでした。博物館の説明文では、「偽のヒエログリフの碑文があるオベリスク」と書かれていて、碑文に関するそれ以上の記述はありません。
 なお、このオベリスクはエジプト関連の展示室の最後の部屋であるローマ帝国時代のものを集めた部屋の隅に置かれていました。照明は非常に暗いため、照明が当たっている正面はかろうじて撮影ができましたが、側面は碑文があることは確認できましたが、撮影は無理でした。
 一方、Wikipediaには、このオベリスクがまだ博物館の廊下に置かれていた当時(2008年)の写真が公開されています。引用は自由とのことですので、筆者が撮影した写真の横に掲載しますが、この写真には筆者が撮影した面の他に右側面が少し写っています。正面と右面では彫られている記号が異なっていることが分ると思います。

撮影メモ: ボローニャ市立考古学博物館のラムセス10世のオベリスクはWikipediaに公開されていた写真から、その存在を知ったのですが、このオベリスクも同じようにWikipediaの写真が唯一の情報でした。このためフィレンツェ国立考古学博物館に行くまで、このオベリスクが確かに展示されているという保証はありませんでした。このため非常に条件の悪い展示のされ方でしたが、見つけたときにはほっとしました。
 なお、このオベリスクを訪れたことによって、2016年の春の時点で筆者がその存在を把握できていたオベリスクを全部みずから訪ずれるという目標がひとまず達成できました。準備を含めると5年間の取組みになりますが、無事に目標を完遂することができて、本当に良かったと思っています。

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Archeologico_firenze_obelisco_in_granito.JPG

左側の写真:2016年5月4日 撮影:長瀬博之、 右側の写真:2008年12月20日 Image by Sailko - Supported by Wikimedia CH
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共同著作・編集: 長瀬博之 nag2jp@ gmail.com、岡本正二 shoji_okamoto31@yahoo.co.jp