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大きな地図で見る          metoro.gifは地下鉄駅を表す記号です

ピンチョのオベリスク

現在地:  ローマ,ピンチョの丘公園内
北緯
41°54′38.9″(41.910806) 東経12°28′47.1″(12.47975)
創建王:  ローマ帝国のハドリアヌス帝
高さ:  オベリスクのみ 9.24 メートル
台座を含め 17.26 メートル
重さ:  不明

場所について:
 オベリスクが立っているピンチョの丘はあまり知られていない公園ですが、ピンチョの丘は Wikipedia 日本語版にも項目があります。高台の南面にあり南側にはローマの市街が広がっています。東側はボルゲーゼ公園につながっています。
 丘の名称は4世紀にこの辺りを所有したピンチ一族(Pinci)に由来するそうです。

ポポロ広場の全景 ナポレオン広場からの眺望
ポポロ広場の全景が見渡せます


 ピンチョの丘から西北に向かうと、ポポロ広場を見下ろせるナポレオン広場に出ます。ナポレオン広場からの景観はすばらしく、眼下の中央にフラミニオ・オベリスクが見下ろせ、その奥にはバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂のドームが遠望できます。また、ナポレオン広場のテラスの左側には階段でポポロ広場に下りて行ける道があります。

行き方:
 ピンチョの丘公園は地下鉄A線の Spagna 駅と Flaminio 駅のほぼ中間にあり、いずれの駅からも500mほどあります。
 Flaminio 駅からですと、ポポロ広場を通りすぎて、階段を登ってナポレオン広場に出てからピンチョの丘に向うルートとなります。ただしこのルートは上り坂と階段がかなりきついです。
 一方Spagna 駅からは、スペイン階段の上のオベリスクが建っているトリニタ・ディ・モンティ広場から、トリニタ・ディ・モンティ通り(Viale della Trinita dei Monti)を行けばピンチョの丘に着くことができます。Spagna駅ではエレベーターに乗るとトリニタ・ディ・モンティ広場に直接行けますので、階段を登るのが苦手な方にはお勧めのコースです。
 途中にある見晴台のところで道がふたつに分かれます。左の下り道がガブリエレ・ダンヌンツィオ通り(Viale Gabriele D'Annunzio)、右の上り道がアダモ・ミツキェヴィチ通り(Viale Adamo Mickievicz)ですが、オベリスクに行くには右の上り道をとります。上りきったところからピンチョの丘公園になります。道なりに右折しますと正面にオベリスクが見えてきます。

三つのカルトーシュ 三つのカルトゥーシュ
オベリスクの北面中央の
少し下の方にあります


 以前の Google map の衛星写真では拡大するとオベリスクが木の陰になってしまいましたが、2014年9月に衛星写真が真上から撮影した画像に更新されて、拡大してもオベリスクが確認できるようになりました。この結果、ローマ市内とバチカン市国の合計13本のすべてのオベリスクが、Google map の衛星写真で確認できるようになっています。(2016年3月の時点では Google Maps API の衛星写真はまだ更新されていませんので、「大きな地図で見る」をクリックして Google map に移動して下さい。)

オベリスクについて:
 このオベリスクは紀元2世紀に、ローマ帝国のハドリアヌス帝が作らせたものであることが分かっています。北面には右の写真のようにカルトゥーシュが三つ書かれているのが分かりますが、少なくとも一つ(左側の行の上側)はハドリアヌスの妻のサビナを表したものであることは筆者も確認できました。他にHatranes Ksr(ハドリアヌス)と書かれているカルトゥーシュがあるとのことですが、こちらは残念ながら判然としませんでした。
 このオベリスクの碑文は細かな文字でびっしりと書かれているので、他のオベリスクとはかなり様相が異なっています。当然ながら王のホルス名から始まる古代エジプトの記述法とは異なりますが、意味は専門家には解読できるようです。
 なお、ハドリアヌス帝はエジプトのアレキサンドリアに滞在したことがあり、妻のサビナをアレキサンドリアに招いたりしています。
 このオベリスクは高さが 9.24m、台座の部分を含めると 17.26mあります。オベリスク自体はほぼハドリアヌス帝によって作られたときの状態を維持しているようです。
 2世紀にハドリアヌス帝によって作られたオベリスクが、最初どこに建てられたのかは分っていません。3世紀にはスピーナを飾るため、ポルタ・マッジョーレ門外にあったバリアヌス円形広場に移されましたが、その後倒壊し、16世紀に発見されてからも何カ所かを転々としたようです。
 1822年に教皇ピウス7世(在位 1800-1823年)によってバルベリーニ広場から現在の地に移されました。

撮影メモ:
 ポポロ広場を見下ろせるナポレオン広場のテラスには多くの観光客が居ますが、そこから少し離れたオベリスクの周辺には観光客はほとんど居ませんでした。木陰に車を停めて休憩している人とか、広い公園内をジョギングしている人などが、オベリスクの周辺で休んでいて、夏の日の午後のゆったりとした時間が流れていました。

pincio_south.jpg
南面

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東面

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西面

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北面

2014年8月11日 撮影:長瀬博之 (画像をクリックすると高解像度の画像が見られます)

共同著作・編集: 長瀬博之 nagase@obelisks.org、岡本正二 okamaoto@obelisks.org