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ボーボリのオベリスク
現在地: | イタリア、フィレンツェ、ボーボリ庭園(ピッティ宮殿裏) 北緯43°45′50.7″(43.764075) 東経11°15′03.5″(11.250969) |
創建王: | ラムセス2世(新王国第19王朝、在位 紀元前13世紀) |
高さ: | 4.87 メートル |
重さ: | 不詳 |
石材: | 赤色花崗岩 |
場所について:
オベリスクが立っているボーボリ庭園はピッティ宮殿の裏側に広がる庭園です。ピッティ宮殿はフィレンツェの銀行家のルカ・ピッティが1457年に建設を始め、その後、メディチ家、ハプスブルグ・ロートリンゲン家に所有が移っていきます。宮殿はその間に増改築が繰り返され、現在の広大な形になったのは19世紀末です。
ピッティ宮殿の一部はピッティ美術館として公開されており、ラファエロの「小椅子の聖母」、ルーベンスの「4人の哲学者」などの収蔵品があり、時間があればぜひ鑑賞したいです。
宮殿を通り抜けた裏手が、目的地となるボーボリ庭園です。ボーボリ庭園は起伏にとんだ丘の斜面に広がる総面積 45,000㎡の大きな公園です。
なお、ボーボリ庭園からアルノ川の対岸にあるウフィツィ美術館までは「ヴァザーリの回廊」という専用通路でつながっています。この回廊は1年間に3ヶ月ほど一般公開されますが、その他の期間は現地ツアーに参加すれば見ることができます。
![]() 正面真ん中の黒いところが入口 そこからボーボリ庭園へ抜けられます |
行き方:
ボーボリ庭園はフィレンツェの中央駅である Firenze Santa Maria Novella (Firenze SMN)駅から約 1.5kmほど南の、アルノ川に架かる有名なヴェッキオ橋の南側にあります。駅から南側に下ればアルノ川に行き着きますが、アルノ川の北岸から、橋の上が土産物や宝飾店街になっているヴェッキオ橋はすぐに見つかります。この橋自体が観光地ですので、ガイドブックにも必ず載っています。
ヴェッキオ橋を渡って 200mほど行くとピッティ宮殿が見えてきます。
ボーボリ庭園はピッティ宮殿の裏側にあります。ピッティ宮殿自体も、ピッティ美術館、近代美術館として公開されていますが、これらの美術館には入らずにボーボリ庭園だけの入場券を購入することもできます。ピッティ宮殿を出て裏側のボーボリ庭園に出れば、オベリスクは目の前のギリシャ式円形劇場の真ん中に立っています。
オベリスクについて:
このオベリスクはローマのドガリのオベリスクと対だったもので、ラムセス2世がヘリオポリスの太陽神殿に建てたものの片方です。紀元1世紀のクラウディウス帝の頃にヘリオポリスからローマに運ばれたと考えられています。
16世紀にミネルヴァ広場の近くの地中から発見されました。そこはローマ帝国時代にイシス神を祀ったイセウム神殿という重要な神殿があったところだったので、このオベリスクはその神殿の装飾に使われていたと想像されます。
発見後はローマのメディチ家の庭園(ヴィラ・メディチ、地下鉄A線 Spagna 駅近くにある)に建てられましたが、1790年にメディチ家によってフィレンツェのボーボリ庭園に移され、現在に至っています。ヴィラ・メディチにはそのコピーが残されています。
オベリスクの保存状態は良く、特に南側の面は碑文がきれいに残っていて、ラムセス2世のホルス名、即位名、誕生名が明瞭に読み取れます。ただ、下の方は文章が途中で終わっていますので、オベリスクの下部は失われていて、本来の長さより短くなっていることが分かります。また、写真を良くみると分かりますが、このオベリスクは北側に少し傾いています。礎石の部分ごと傾いているわけではなく、礎石は直立しているのですが、オベリスクとの接合部で傾いています。
撮影メモ:
ピッティ宮殿は観光客が多数訪れていて、入場券売り場は長蛇の列ができていますので、別の入口に向かうのが得策です。宮殿前の広場を通り過ぎて 200mほど西に向かうとボーボリ庭園の入口があり、ここでピッティ宮殿を含めて入場券を買うことができます。宮殿前の売り場に比べるとはるかに待っている人は少ないので、ここまで歩いてきても時間の節約になります。
フィレンツェはローマ以上に夏は暑く、私が訪れた 2013年と 2014年の8月には、真夏の炎天下のためか、裏手のボーボリ庭園を訪れる人はごくわずかでした。オベリスクをバックに写真撮影をする観光客も居ないわけではありませんが、ほとんど注目されていませんでした。
![]() 南面 |
![]() 東面 |
![]() 西面 |
![]() 北面 |
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2013年8月13日 撮影:長瀬博之 (画像をクリックすると高解像度の画像が見られます) |
共同著作・編集: 長瀬博之 nagase@obelisks.org、岡本正二 okamaoto@obelisks.org